局所性ジストニアの経過と現在のリハビリ ①

 2024年12月頃、僕はギターの練習中に右手の異変に気付きました。その後、症状は徐々に悪化し、現在もリハビリを続けています。

 発症当初は、症状はギターを弾く時だけ現れました。右手首が反り返り、自分の意思とは関係なく外側へ回転してしまいます。また、ギターを構えた瞬間から右手首がギターのブリッジ付近に磁石で引き寄せられるような感覚があり、その時点で演奏が難しくなります。さらに、ピックを持つ右手の指に異常なほど力が入ってしまいます。以前は力加減を自由にコントロールでき、軽くピックを持って演奏ができていました。しかし、ジストニアを発症してからは、ピックを持った瞬間に必要以上の力が入ってしまうようになりました。

 まず地元の脳神経外科でMRI検査を受けましたが、脳に異常はありませんでした。その後、局所性ジストニアと診断され、紹介された総合病院でも同じ診断を受けました。てんかんの薬やパーキンソン病の薬による治療も試しましたが、副作用が強く、症状の改善も感じられなかったため、薬の服用を中止しました。

 発症から約半年後(2025年8月)、愛知県名古屋市の「瑞穂の森治療院」に通い始めました。脳や神経系の働きのバランスを整えるため、頭部の脳の関連領域と耳の反射区へ微弱な電流を流す治療を受けたところ、ピックを持った瞬間に入る過剰な力が少しずつ抜けるように感じました。治療中は症状が抑えられましたが、治療が終わると再び症状が現れました。しかし、通院を続けるうちに「力を抜く」という感覚を少しずつ出来るようになってきました。また、ギターを使わないイメージトレーニングも効果があると感じています。最初はギターを持たず、ピックだけを持ってギターを演奏するイメージトレーニングを行っても症状が出ていました。しかし、ギターもピックも持たずに演奏をイメージする練習では症状が抑えられ、その練習を繰り返すことで、少しずつピックだけを持ったイメージトレーニングでも症状を抑えられるようになってきました。

 僕が現在行っているリハビリで最も大切にしていることは、「症状が出ない状態だけを繰り返し練習する」ことです。テンポはまったく気にせず、自分が想像する以上にスローモーションで正しいフォームを繰り返します。力が入って手首が反り返った瞬間に練習を止め、数分休憩してから再び力が「0」の状態で練習を始めます。この単純な作業を何度も繰り返し、新しい正しい動きを脳に覚えさせることを目標にしています。ただし、力を完全に抜いた状態ではピックを保持できず、ピックを落としてしまいます。そのため、ドラマー用の滑り止め、またはギターピック用の滑り止め「GORILLA SNOT」を使用しています。これを使うことで、力を入れなくてもピックを保持できるようになり、リハビリがしやすくなりました。

 現在はリハビリテーション病院へ通院し、tDCS(経頭蓋直流電気刺激)や作業療法・理学療法によるリハビリを続けています。リハビリテーション病院では筋肉の動きや手の使い方を詳しく評価していただいた結果、僕の場合は右手人差し指が症状のトリガーになっていることが分かりました。症状が出ない範囲でリハビリを続けていると、少しずつではありますが改善している実感があります。

 局所性ジストニアは本当に不思議です。症状は少しずつ変化しています。発症当初はギター演奏中だけだった症状が、数か月後にはパソコンのキーボード操作でも現れるようになりました。しかし、日常生活には全く症状は出なく、支障はありません。また、パソコンのキーボードも右手人差し指を使わなければ症状は出ません。指弾きのクラシックギターの場合、症状はピックに比べたら抑えられますが、約1分で手首がそりかえります。しかし、指弾きのエレキベースでは全く症状は現れません。エレキギターを構えた瞬間から違和感が始まり、ピックを持つことでジストニアのスイッチが入るような感覚があります。

 局所性ジストニアはすぐに治るものではありません。しかし、焦らず、症状が出ない正しい動きを積み重ねることで、少しずつ改善する可能性があると感じています。この経験が、同じ症状で悩んでいる方々の参考になれば幸いです。

 2025年5月時点の症状です。思った弦にピックを持って行けていないので、まともに弦を弾けてません。https://youtube.com/shorts/CMPTtJ0MKEs

 局所性ジストニアについて詳しく知りたい方には、音楽之友社から出版されている『どうして弾けなくなるの?〈音楽家のジストニア〉の正しい知識のために』をおすすめします。局所性ジストニアについて分かりやすく解説されており、自分の症状を理解する上でも大変参考になりました。https://amzn.asia/d/05fQk2o3